AI × エンタメの法規制 — 国別比較¶
⚠️ 一般的な情報整理であり、法的助言ではない。実務判断は最新の一次情報と専門家の確認に基づくこと。 論点ごとの横断的な整理は ethics-legal.md。ここでは国・地域ごとに並べ直し、比較できるようにした。 English edition: ../../en/ethics-legal/by-country/README.md
比較表(2026年9月時点)¶
| 論点 | 日本 | 米国 | EU | 中国 | 韓国 |
|---|---|---|---|---|---|
| 学習 | 著作権法30条の4で原則可(享受目的の併存・権利者の利益を不当に害する場合は除く) | フェアユースを訴訟で判断中。合法に入手した書籍での学習を肯定した地裁判決あり | TDM例外(権利者はオプトアウト可)。汎用AIは学習データの概要公開 | 生成AIサービス管理暫定弁法(2023年8月施行)第7条: 合法的な出所のデータとモデル、他人の知的財産権を侵害しない、個人情報は同意 | 原則は権利者の許諾が必要。TDM例外の法改正を政府が提案中だが未成立(2026年時点) |
| AI生成物の表示 | 法的義務なし(ガイドライン中心) | 連邦法なし。州法で一部 | AI法50条: 2026年8月から、AIとの対話の通知、生成物の機械可読なマーキング、ディープフェイクの開示 | 表示弁法: 2025年9月から、見える表示とメタデータの両方 | AI基本法: 2026年1月から、生成AIの事前告知と表示・透かし(過料は1年以上猶予) |
| 声・肖像 | パブリシティ権。2026年8月の法務省の解釈指針で声も対象と明示 | 州法(テネシー州ELVIS法など)。連邦のNO FAKES法案は審議中 | 各国法とGDPR | 民法典1023条で声も肖像権の規定に準じて保護。2024年に北京インターネット法院がAI音声の無断利用を初めて侵害と判断 | — |
| AIコンパニオン・未成年 | 法的義務なし | NY州(全利用者に3時間ごとの通知)、カリフォルニア州SB 243(未成年への配慮、ゲーム内ボットの除外) | AI法50条1項(AIであることの通知) | 擬人化AI暫定弁法: 2026年7月から、未成年への「仮想の恋人・家族」禁止、連続2時間超の通知 | — |
| エンタメへの一言 | 学習に寛容だが、出力の類似と声には厳しくなっている | 訴訟と和解・ライセンスが同時進行 | 表示義務が最も具体的。芸術作品には表示方法の配慮あり | 表示と未成年保護が最も厳格 | 表示義務が新設。芸術作品の鑑賞を妨げない表示も可 |
グローバルに出すときの現実的な方針¶
- 一番厳しい地域に合わせて設計する: AIキャラなら中国(未成年・2時間)と米国の州法(危機対応・3時間)、表示ならEU・中国・韓国
- 表示は「見える表示」と「機械可読な印」の両方を最初から入れる: EU・中国・韓国の要件をまとめて満たせる
- 声は本人の許諾か、実在の人に似せない声に寄せる: 日本の解釈指針と米国の州法の両方に対応できる(→ ai-characters P38)
- 会話の範囲で法的な分類が変わる: ゲームの話題に限ったNPCとコンパニオンを分けて設計する(→ ai-characters P01)
追跡中¶
- 米国: Thomson Reuters v. ROSS の控訴審判決、NO FAKES Act
- EU: 第50条の行動規範(Code of Practice)の最終版
- 日本: 不正競争防止法の改正(声の保護)の検討
- 韓国: AI基本法の過料猶予が終わる時期と、表示の細則